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最強AI「ⓝSuphx」の牌譜検討~その1

AIは統計データの塊

みーにんさんの統計データ本のレビューでも書きましたが、現代における麻雀学習では統計データがなくてはならないものとなっています。
統計データの活用としては第一に1人麻雀練習機による期待値計算、第二に統計データ本による押し引きやリーチ判断の学習があると述べました。

今回は第三の統計データ活用をやっていきます。
それは麻雀AIの牌譜検討です。
牌譜検討は手づくり、点棒状況判断、場況判断、押し引き、リーチ判断など麻雀の総合力のトレーニングに役立ちます。
人間の牌譜を見ても良いのですが、タイプがバラバラで自分に合った人を見つけるのが難しいです。
例えばASAPINは間違いなく強いですが、副露判断がどうしても真似できないし、積極的に鳴いていくとその後の守備がおろそかになるという人もいるでしょう。
場況判断を織り交ぜつつ、積極的に鳴きながら他家の攻撃をかわしつつ和了りきるというのは、独自の実戦感覚と経験がなければ出来ないことです。
AIはもっとよりシンプルで、純粋に攻撃力を高める手組みと、鳴きと、損得に見合った押し引きと、正確なベタオリ手順というかんじで、お手本にするには最適だと思われます。

参考にするのはもちろん最強AIのⓝSuphxです。
AIというのは統計データの塊であって、大量に牌譜データを読み込み、その中から統計を取って平均値を採取し、期待値の高い打牌を自動的に選択するという仕組みになってい
ます。
我々人間が統計データを参考にして麻雀を打つのと同じですが、それを極めて正確に、高速に、自動的に選択しているのがAIと言えるでしょう。
つまり統計データをもっとも巧く活用していて、結果も残しているのがAIであり、ⓝsuphxです。
我々人間が統計データを適切に使用し、実戦で適用するための良い見本になると思います。

① 東1局東家

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先制リーチを受けてベタオリし、現物だけを打っていましたが、安牌が尽きて手詰まりしてしまいました。
打牌候補は1枚切れば四巡しのげる1mや、序盤先切りまたぎの6-9s、比較的安全度の高い字牌の發などがあります。
Suphxはこの中から6sを選びました。
序盤先切りまたぎの牌は安全度が高いという統計データもあり、それに従ったと言えるでしょう。
暗刻落としすれば数巡凌げるので、ベタオリ成功率が上がるという統計データもあるのですが、1-4mはド無スジであり、安全度自体は6-9sの方が上。
6sを切れば次巡にスジの9sも切れるので、2巡の安全が確保出来るということもあり、そちらの方がベタオリ成功率は高そうです。
字牌の發は1枚しかなく、1巡しか安全が保障されない上に、実はこの巡目のションパイ字牌は危険度がけっこう高いということも統計データで明らかになっています(11巡目で6%程度)。
9sではなく6sから切っているところもポイントです。
7sが先に切られている河では、6sはシャンポン、カンチャン、単騎には極めて刺さりにくい。
9sは799から7sを先に切る手順がなくはないですし、チートイの単騎待ちで良い待ちごろの牌として残している可能性もあります。
とはいえ、それほど危険ではないのでどの道次巡には切るんですが、確実に6sの方が安全と言えるので、6sから切るのが正解です。
このあたりのベタオリ手順が極めて精密で正確なのがAIの特徴です。
6sと9sの切り順は人間なら間違うことがよくあります。

② 東3局西家

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これは私なら鳴いて打5pとしそうですが、Suphxはこれをスルーしました。
頭がないので最終形が不安になりそうですが、5-8mもすぐ鳴けそうですし、鳴いた方が圧倒的に速そうですね。
この手格好からリーチを受けたらどの道苦しいので、他家から攻撃を受ける前に和了り切ってしまいたいと人間の私は考えます。
言い換えれば他家から攻撃を受けるのが怖いから鳴くんですが、AIにはそういう情緒的な感情はなさそうですね。
とはいえ持ち点も少ないですし、鳴くのは我慢した方が良いかもしれません。

③ 東4局南家

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愚形のシャンポンに受けてホンイツトイトイにするか亜両面の準良形に受けるかという選択です。
これは私なら3pを切りそうですが、統計データの活用に秀でるAIですから、こちらの選択の方がおそらく期待収支が高いと思われます。
一見すると5200が8000になるだけに見えるんですが、赤5pを引けば跳満にもなりますし。
ただ、人間の私から見ると亜両面とはいえ2-5p待ちと中張牌のバッタ待ちでは差があるように感じます。
3-6pに受けるよりはシャンポンに受けた方が良さそうに思えるのですが、2-5pの亜両面は捨て難い、良さそうな待ちです。
にしても、そこそこの打点で確実に加点しておこうとは考えないのが実に人間らしからぬ、AI思考と言えそうですね。

④ 東1局1本場南家

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これはダマにして手変わりを待つ人も多く居るかと思われますが、統計データの塊のようなAIがリーチを打つということは、それは間違いである可能性の方が高いでしょう。
統計データというのは、基本的に場況がフラットに近いほど有効になります。
巡目が浅く、親が役牌を鳴いているくらいで情報が少ない場況です。
このような状況でのAIの判断は、極めて信頼度が高いと思われますね。

⑤ 南3局1本場西家

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これはホンイツを睨んで9pを切りそうですが、Suphxは6m切りを選択。
これも先ほどと同じく場の情報が少ないため、AIの選択は重く見る必要があります。
これだけ極めて情報が少ない中で選択するということは、正しい選択である可能性も高いということです。
最初はチートイ狙いで決め打ちかなと思ったのですが、この後北を1鳴きするんですよね。
ということは9pの重なりに期待してホンロートイトイ狙いだと思われます。
もしくはただちに南を引いてきたときにチートイの9p単騎で即リーチに行ける用意を、ということかもしれません。
先に9p切りだと6mが宣言牌でソバテンの8m単騎待ちになりますし、少し待ちが弱くなってしまいます。
あるいはすでに5トイツあるのでホンイツを見る必要はもはやないということもあるでしょう。
たしかにホンイツもトイトイも同じ2ハンで変わらないです。
もし7mをツモってホンイツに移行しても5s切りとなり、トイトイは消えるので打点は変わらないことになります。
この手のように端牌トイツが揃っていれば両面ターツは必要なく、良形並に良いターツが既に揃っていると言えます。
つい反射的にホンイツを考えてしまうんですが、よくよく考えてみるとホンイツはそんなに要らないですね。

⑥ オーラス南家

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ツイッターでも少し話題になっていた鳴きです。
5pを鳴くのは当然ですが、なんとSuphxは両面ではなくカンチャンで5pをチーします。

⑦ オーラス南家その2

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これには面食らいましたが、その後2pを引いてきて意図を理解しました。

⑧ オーラス南家その3

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これはホンイツへの渡りを見るためのカンチャンチーだったのです。
ただこのチーは正直言って疑問手でしかありません。
ホンイツにならなくても南ポンすれば3900になり、連帯が取れるわけですから。
それにここから3s4sを切っていくのはかなり厳しいです。
実戦感覚として、やばすぎる。
私はこの手格好でもホンイツは必要なしと見て3pを切りそうです。
期待値の高い選択をしているのは分かりますが、AIには恐怖という感情がないですね。
東場ならまだ分かりますが、オーラスでラスと僅差の3位に居れば危険牌の切り遅れは致命傷になるし、カン7pの受け入れも逃したら痛すぎるという意識が人間にはあるので。

AIにはミスがない、恐怖もない

全体的にミスが極めて少ない・・・というよりはミスという概念自体がAIにはなさそうです。
特に序盤の手づくり、ベタオリ手順が極めて正確で精密と言えます。
足りないのはAIだけあって実戦感覚です。
場数を踏んでいる人間の巧さ、老獪さのようなものが感じられない気がします。
例えるなら怖いもの知らずなものすごく頭の良い子供っていうかんじです。
特に中盤以降の場況判断は少し怪しいものがありますね。
ただ怖いもの知らずが逆に人間にとっては困難な胆力を生むこともありそうです。

牌譜
http://tenhou.net/0/?log=2019070800gm-0029-0000-da33194f&tw=0

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