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2020年1月

最強AI「ⓝSuphx」の牌譜検討~その3

前回までの牌譜検討↓
http://renrakujan.cocolog-nifty.com/blog/2020/01/post-bf9f0f.html

① 南1局南家

2019070723gm00290000b5ddd63ctw1ts4

非常に難しい牌姿ですが、Suphxはここから打1pとしました。

200121

疑問に思って1人麻雀練習機にかけてみたのですが、打1pの期待値がもっとも優秀であり、両者の打牌が一致する結果に。
しかし、2番手の打1mとの差はほんの僅かであり、人間の頭ではどちらが上かを判断するのは不可能なレベルです。
Suphxと1人麻雀練習機の期待値判断は非常に似ています。
気になって他の牌姿でも何度か起動してみたのですが、平面的な判断では、ほぼ両者の打牌が一致していることが分かりました。
同じAIという種族だけあって、両者は似た思考をしているのでしょう。

牌譜↓
http://tenhou.net/0/?log=2019070723gm-0029-0000-b5ddd63c&tw=1

② 東4局北家~その1

2019070722gm00290000f85d9326tw2ts3

Suphxと1人麻雀練習機の共通点は他にもあります。
Suphxはここから打2pを選択。
これも1人麻雀練習機によれば2sと2pの期待値がもっとも高く、両者の差は極々僅かなものとなっています。
ですがこれは1m切りがいいのではないでしょうか?
2p切りが間違いとまでは言いませんが、1m切りもかなり有力です。
しかし一人麻雀練習機では1m切りの期待値を低く見積もっています。
それは一人麻雀練習機が文字通り一人麻雀だからで、チーもポンもないからです。
1m切りのメリットは食いタンによる加速が期待出来ることで、それによる期待値上昇は計算に入っていません。
Suphxも実は同じことで、鳴きによる加速は期待値の計算には入ってないのではないかと思うのです。
だから一人麻雀練習機と同じ動作をするんですね。
鳴きの期待値は計算しにくいものです。
例えば上家が国士を狙っているときなどは、食いタン効率が大幅にアップしますし、鳴きの期待値は他家の挙動や場況に大きく左右されます。
おそらくその複雑な場況の計算はAIにとって難しく、手づくりに反映させることが困難なのでしょう。
だから基本は面前進行の期待値計算で手を進めながら、鳴ける牌が出るたびにその都度、面前進行と副露進行の期待値を比較して鳴き判断を決めているのだと思われます。

要するに鳴きを前提とした手づくりはしていないということです。
だから仕掛けが少ないんですね。

③ 東4局北家~その2

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2pを切った直後に裏目の3pを引いてきました。
Suphxはこれを残し、1m切りとします。
これも一人麻雀練習機と同じ考え方で、ロン和了りは期待値の計算にそもそも入っていないのだと思われます。
ツモ和了りの期待値計算だけで手づくりを考えているので、こういうフリテンターツも躊躇なく残すことができるのでしょう。
人間はフリテンターツを感情的に嫌いがちですが、麻雀の基本はツモ和了りで、それは一人麻雀でも四人麻雀でも変わりません。
ですが極端にツモ和了りしか考えていないところがあって、どちらかと言えば迷彩のようなロン和了りの効率を上げる手順はSuphxはやや苦手としているようです。

④ 東4局北家~その3

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その後も紆余曲折があり、南家からリーチが入りますが直後にタンピンドラドラのテンパイが入ります。
Suphxはダマテンとしますが、リーチ者の現物でオリ打ちを狙っているのでしょう。
セオリー通りの選択ですが、他家の動向も期待値の計算に入っているということでしょうね。

⑤ 東4局北家~その4

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その1巡後に異変が起きます。
なんとSuphxが突如ツモ切りリーチを選択しました。
これにはどういう意図があるのでしょうか。
人間ではないのですから、一度はダマテンにしようと思ったが、迷って考え直してリーチに変えたなんてことはありえないはずです。
たった1巡の間に場の中で何か変化が起きて、それを感じ取ってリーチに変えたのでしょう。
そうとしか考えられません。

この1巡の間に起きた出来事といえば、上家が8mをポンして危険牌の7pを押したということです。
そして東家もよく見ると危険牌の7mを押しています。
どちらもほぼテンパイだと思われます。
おそらくリーチ者に押している2人の他家が居るので、もはやオリ打ちは狙えないと思ったのでしょう。
リーチ者の現物の6mは他家がオリているからこそ拾える待ちだったのです。
他家が真っ直ぐ和了りに向かっているとしたらツモ切りするだけですから、リーチ者の現物の6mが優先的に切られるわけではありません。
それならばリーチもダマも和了率は変わらないと、そう思ったに違いありません。
AIが「思った」というのはおかしいかもしれませんが、いずれにせよ他家が押しているかオリているかを監視していて、どう動くかで判断を変えているということですね。
Suphxは場況判断が苦手だと思っていましたが、他家の動向はきっちり見ていることが分かりました。
しかし人間のようになんとなくのアナログな感覚とは言いがたいです。
むしろここでツモ切りリーチは人間には思いつかない突飛な発想でもあります。
他家が全員押しているなら逆に怖くて反射的にリーチには行けないだろうとも思います。
でもよくよく考えてみればオリる手ではないし、ダマっていても和了率が上がるわけでもないし、リーチに行かない理由はないですね。

牌譜↓
http://tenhou.net/0/?log=2019070722gm-0029-0000-f85d9326&tw=2

AIは超ハイスペックな人間そのもの

Suphxのからくりがなんとなく見えてきました。
面前かつツモ和了りを前提とした手の進行をしつつ、並行で副露進行の期待値との比較をしながら鳴きを判断している。
しかしひとたびテンパイすればロン和了りによる和了率上昇も計算に入れながら期待値を測り、リーチ判断に結び付けています。
こう考えるとめちゃくちゃ頭の良い人間となんら変わらないとも言えます。
出力される打牌そのものは超ハイスペックな人間そのものです。
平面的な牌姿の正確な期待値判断だけではなく、他家の動向まで監視して判断に結びつけるとすれば手が付けられないほど脅威です。

最強AI「ⓝSuphx」の鳴き

前回までの牌譜検討↓
最強AI「ⓝSuphx」の牌譜検討~その1

Suphx(スーパーフェニックス)の副露率は.319で、典型的な面前型と言えます。
私の麻雀も実は面前派だと思っているので、Suphxの鳴き判断は見ていてあまり違和感がありません。
Suphxの鳴き判断はシンプルで、ひとことで言えば「安くて遠い鳴きはしない」という麻雀の必勝セオリーに従ったものです。
鳴きで和了りやすくなったり、遠くても期待打点の高い鳴きをしたり、打点が充分見えているところからスピードを加速したり、面前進行から期待値を上げる鳴きの精度が極めて高いと言えます。
無駄に手牌を短くするようなことは皆無といってもよく、仕掛けの途中で他家から攻撃を受け安牌が尽きて手詰まりすることもなかなかありません。

その反面、天鳳民がよくやるような、バラバラの手から強引にタンヤオに寄せて仕掛けたり、三色、イッツー、チャンタなどあらゆる仕掛け役を駆使して和了りきろうとするようなテクニカルな鳴きは苦手です。
こういった仕掛けは場況にも左右されやすいですし、安全度を見極めてから仕掛けないと容易に他家からの攻撃を受けてしまいます。
そういった場況判断は苦手ということなのでしょう。
役なしから形式テンパイ狙いで仕掛けるということも、よほどの終盤でない限りほとんどありません。
しかし明確に面前進行より期待値が上がっていると感じられる鳴きが多く、逆に期待値の下がる無駄な鳴きもなく、その精度は極めて高いと感じさせられます。
今回はSuphxの鳴きを見てみましょう。

① 東1局東家~その1

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これは手牌の方針がまだ定まっていないので、ここから和了りに向かって発進するのは、私には抵抗があります。
東だけは鳴きますが、それ以外は少なくともドラの6p周りでターツが出来てからじゃないと鳴きたくないというかんじですね。
何故鳴いたのか、最初のうちはよくわかりませんでしたが、これはトイトイ狙いだと考えられます。
一見するとダブ東バックの2900の仕掛けに見えるのですが、トイトイを絡めれば満貫になります。
まだ1面子もない和了りに遠いところからの仕掛けですが、期待収入の高い仕掛けというわけですね。
1mは既に2枚切られており、この1mをスルーするとトイトイの和了りはもはや絶望的になります。
鳴かずにドラのくっつきを待つなどと悠長なことを言っている場合ではなかったです。

② 東1局東家~その2

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2sを鳴けばダブ東バックのテンパイに取れるというところですが、Suphxはこれをスルー。
当然の判断だと思います。
ハナからダブ東のみの2900で終わらせるつもりなどなかったはず。
トイトイだけではなくドラのくっつきによる打点上昇もありますし。
東が出れば鳴いてテンパイを取りますが、ギリギリまで高打点の和了りを追いたいところです。

③ 東1局東家~その3

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その後6pを重ね、結果的にはダブ東トイトイドラドラの18000を和了ることが出来ました。
最初の1mのポンがなければこの和了りには結びつかなかったでしょう。
分かりやすい結果となりましたが、こういった未来も想像した上で仕掛けていると思われます。
AIに想像力という表現はおかしいかもしれないですが、人間には想像も出来ない未来をAIは想定しているのですよね。
鳴いた後の未来と鳴かなかった場合の未来と、無数の未来がある中で、どちらにバラ色の未来が待っているのかを想像する力がこのAIにはあるのです。

④ ハイテイ消しの鳴き

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別の牌譜からも見てみましょう。
現状のハイテイは北家で、このままだとリーチ者にハイテイが回ります。
そこでハイテイ寸前に打たれた6pをポンとし、リーチ者にハイテイが回らないようにした上にツモまで消してしまいました。
Suphxはハイテイ操作の鳴きをするという決定的瞬間です。
もちろん鳴いた方が得なのは疑いようもない事実なのですが、こういったこともAIには出来るんですね。

⑤ 一発消しの鳴き

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終盤に差し掛かり、親からのリーチを受けて宣言牌の4pをチー、打北としました。
最初に見たときはケイテン狙いかなと思ったのですが、よく考えてみるとケイテンが取りやすい形にはなっていません。
鳴けば8mツモ、8mチーか、5pツモでテンパイしますが、鳴かなければ8mツモかチー、5pポンかツモ、北ポンかツモでテンパイします。
47pツモだけは危険牌の5p切りとなってしまうので要らないですが、それ以外は安全牌の9p切りでテンパイがとれるので問題ありません。
鳴けばテンパイ効率が下がるのは明白です。
となると狙いは一発消し以外に考えられません。
現状の手は急所の8m引きでも危険牌の5pが押すのに見合わないため、ドラ1のみの愚形テンパイがマックスで、親リーチに押し返せるような手ではありません。
親リーチを受けた時点で自分の手は既に死んでいる状態です。
となると出来ることは一発消しかケイテン狙いしかありません。
宣言牌のチーをスルーしたとして、ケイテンが取れるかどうかは確率が上がったとしても確実ではないので、それならば確実に目の前の一発だけでも消しておいた方が得策ということなのでしょう。
もともと一発消しは損得に見合わないケースが多いのですが、この場のように自分の手が既に死んでいて、ケイテンくらいしか希望が見出せないときは有効になります。
これもAIの損得勘定は正しい可能性が高いです。
不確実なテンパイ料と、確実な一発消しとを天秤にかけて計算した上でこの判断ということですから。
計算能力は人間よりAIの方が上であり精密ですからね。

AIは小技も駆使する

このようにSuphxは面前進行と副露進行の期待値計算が正確で、どちらが計算上で上回るかを精密にジャッジした上で鳴き判断を決めています。
そのためにはハイテイ操作や一発消しのような小技をも駆使してくるので、スキがないと言えますね。

最強AI「ⓝSuphx」の牌譜検討~その1

AIは統計データの塊

みーにんさんの統計データ本のレビューでも書きましたが、現代における麻雀学習では統計データがなくてはならないものとなっています。
統計データの活用としては第一に1人麻雀練習機による期待値計算、第二に統計データ本による押し引きやリーチ判断の学習があると述べました。

今回は第三の統計データ活用をやっていきます。
それは麻雀AIの牌譜検討です。
牌譜検討は手づくり、点棒状況判断、場況判断、押し引き、リーチ判断など麻雀の総合力のトレーニングに役立ちます。
人間の牌譜を見ても良いのですが、タイプがバラバラで自分に合った人を見つけるのが難しいです。
例えばASAPINは間違いなく強いですが、副露判断がどうしても真似できないし、積極的に鳴いていくとその後の守備がおろそかになるという人もいるでしょう。
場況判断を織り交ぜつつ、積極的に鳴きながら他家の攻撃をかわしつつ和了りきるというのは、独自の実戦感覚と経験がなければ出来ないことです。
AIはもっとよりシンプルで、純粋に攻撃力を高める手組みと、鳴きと、損得に見合った押し引きと、正確なベタオリ手順というかんじで、お手本にするには最適だと思われます。

参考にするのはもちろん最強AIのⓝSuphxです。
AIというのは統計データの塊であって、大量に牌譜データを読み込み、その中から統計を取って平均値を採取し、期待値の高い打牌を自動的に選択するという仕組みになってい
ます。
我々人間が統計データを参考にして麻雀を打つのと同じですが、それを極めて正確に、高速に、自動的に選択しているのがAIと言えるでしょう。
つまり統計データをもっとも巧く活用していて、結果も残しているのがAIであり、ⓝsuphxです。
我々人間が統計データを適切に使用し、実戦で適用するための良い見本になると思います。

① 東1局東家

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先制リーチを受けてベタオリし、現物だけを打っていましたが、安牌が尽きて手詰まりしてしまいました。
打牌候補は1枚切れば四巡しのげる1mや、序盤先切りまたぎの6-9s、比較的安全度の高い字牌の發などがあります。
Suphxはこの中から6sを選びました。
序盤先切りまたぎの牌は安全度が高いという統計データもあり、それに従ったと言えるでしょう。
暗刻落としすれば数巡凌げるので、ベタオリ成功率が上がるという統計データもあるのですが、1-4mはド無スジであり、安全度自体は6-9sの方が上。
6sを切れば次巡にスジの9sも切れるので、2巡の安全が確保出来るということもあり、そちらの方がベタオリ成功率は高そうです。
字牌の發は1枚しかなく、1巡しか安全が保障されない上に、実はこの巡目のションパイ字牌は危険度がけっこう高いということも統計データで明らかになっています(11巡目で6%程度)。
9sではなく6sから切っているところもポイントです。
7sが先に切られている河では、6sはシャンポン、カンチャン、単騎には極めて刺さりにくい。
9sは799から7sを先に切る手順がなくはないですし、チートイの単騎待ちで良い待ちごろの牌として残している可能性もあります。
とはいえ、それほど危険ではないのでどの道次巡には切るんですが、確実に6sの方が安全と言えるので、6sから切るのが正解です。
このあたりのベタオリ手順が極めて精密で正確なのがAIの特徴です。
6sと9sの切り順は人間なら間違うことがよくあります。

② 東3局西家

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これは私なら鳴いて打5pとしそうですが、Suphxはこれをスルーしました。
頭がないので最終形が不安になりそうですが、5-8mもすぐ鳴けそうですし、鳴いた方が圧倒的に速そうですね。
この手格好からリーチを受けたらどの道苦しいので、他家から攻撃を受ける前に和了り切ってしまいたいと人間の私は考えます。
言い換えれば他家から攻撃を受けるのが怖いから鳴くんですが、AIにはそういう情緒的な感情はなさそうですね。
とはいえ持ち点も少ないですし、鳴くのは我慢した方が良いかもしれません。

③ 東4局南家

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愚形のシャンポンに受けてホンイツトイトイにするか亜両面の準良形に受けるかという選択です。
これは私なら3pを切りそうですが、統計データの活用に秀でるAIですから、こちらの選択の方がおそらく期待収支が高いと思われます。
一見すると5200が8000になるだけに見えるんですが、赤5pを引けば跳満にもなりますし。
ただ、人間の私から見ると亜両面とはいえ2-5p待ちと中張牌のバッタ待ちでは差があるように感じます。
3-6pに受けるよりはシャンポンに受けた方が良さそうに思えるのですが、2-5pの亜両面は捨て難い、良さそうな待ちです。
にしても、そこそこの打点で確実に加点しておこうとは考えないのが実に人間らしからぬ、AI思考と言えそうですね。

④ 東1局1本場南家

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これはダマにして手変わりを待つ人も多く居るかと思われますが、統計データの塊のようなAIがリーチを打つということは、それは間違いである可能性の方が高いでしょう。
統計データというのは、基本的に場況がフラットに近いほど有効になります。
巡目が浅く、親が役牌を鳴いているくらいで情報が少ない場況です。
このような状況でのAIの判断は、極めて信頼度が高いと思われますね。

⑤ 南3局1本場西家

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これはホンイツを睨んで9pを切りそうですが、Suphxは6m切りを選択。
これも先ほどと同じく場の情報が少ないため、AIの選択は重く見る必要があります。
これだけ極めて情報が少ない中で選択するということは、正しい選択である可能性も高いということです。
最初はチートイ狙いで決め打ちかなと思ったのですが、この後北を1鳴きするんですよね。
ということは9pの重なりに期待してホンロートイトイ狙いだと思われます。
もしくはただちに南を引いてきたときにチートイの9p単騎で即リーチに行ける用意を、ということかもしれません。
先に9p切りだと6mが宣言牌でソバテンの8m単騎待ちになりますし、少し待ちが弱くなってしまいます。
あるいはすでに5トイツあるのでホンイツを見る必要はもはやないということもあるでしょう。
たしかにホンイツもトイトイも同じ2ハンで変わらないです。
もし7mをツモってホンイツに移行しても5s切りとなり、トイトイは消えるので打点は変わらないことになります。
この手のように端牌トイツが揃っていれば両面ターツは必要なく、良形並に良いターツが既に揃っていると言えます。
つい反射的にホンイツを考えてしまうんですが、よくよく考えてみるとホンイツはそんなに要らないですね。

⑥ オーラス南家

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ツイッターでも少し話題になっていた鳴きです。
5pを鳴くのは当然ですが、なんとSuphxは両面ではなくカンチャンで5pをチーします。

⑦ オーラス南家その2

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これには面食らいましたが、その後2pを引いてきて意図を理解しました。

⑧ オーラス南家その3

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これはホンイツへの渡りを見るためのカンチャンチーだったのです。
ただこのチーは正直言って疑問手でしかありません。
ホンイツにならなくても南ポンすれば3900になり、連帯が取れるわけですから。
それにここから3s4sを切っていくのはかなり厳しいです。
実戦感覚として、やばすぎる。
私はこの手格好でもホンイツは必要なしと見て3pを切りそうです。
期待値の高い選択をしているのは分かりますが、AIには恐怖という感情がないですね。
東場ならまだ分かりますが、オーラスでラスと僅差の3位に居れば危険牌の切り遅れは致命傷になるし、カン7pの受け入れも逃したら痛すぎるという意識が人間にはあるので。

AIにはミスがない、恐怖もない

全体的にミスが極めて少ない・・・というよりはミスという概念自体がAIにはなさそうです。
特に序盤の手づくり、ベタオリ手順が極めて正確で精密と言えます。
足りないのはAIだけあって実戦感覚です。
場数を踏んでいる人間の巧さ、老獪さのようなものが感じられない気がします。
例えるなら怖いもの知らずなものすごく頭の良い子供っていうかんじです。
特に中盤以降の場況判断は少し怪しいものがありますね。
ただ怖いもの知らずが逆に人間にとっては困難な胆力を生むこともありそうです。

牌譜
http://tenhou.net/0/?log=2019070800gm-0029-0000-da33194f&tw=0

統計学のマージャン戦術~レビュー

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統計データには嘘や間違いがない

みーにんの「統計学のマージャン戦術」を読みました。
同じくみーにんさんのデータで勝つ三人麻雀はとても素晴らしかったので、四人麻雀用のデータも欲しいと思い購入しました。
これも予想以上の出来というか、四人麻雀用のデータの方が実戦に活用しやすく、役に立ちそうだなという印象です。
やはり四人麻雀の方が統計データを利用するデジタル麻雀戦術との相性が良く、三人麻雀の方が実戦感覚の場況読みとかに頼っている傾向が強いのでしょう。
個人的にもこちらの方が得るものが多く、チートイの字牌単騎は地獄待ちが思ったより強いなとか、ダブ東のシャンポン待ちは出にくいと思っていたが意外とそうでもないとか、上級者でも知らないことが数多くあると思います。

統計データには嘘や間違いがありません。
鳳凰卓の膨大な量の牌譜から採取してきたデータは、現実に強者どうしが長期に渡ってガチで麻雀を打ち合い、残してきた結果であり事実なので、そこに異論を挟む余地などありません。
これはどんな麻雀の強者の言い分より信頼できます。
人間の経験や主観をもとに構築された思考や判断は曖昧で抽象的になりがちだからです。
現にトップ中のトップクラスの打ち手の間でも判断が分かれる麻雀の選択というのはいくらでもあります。
実際に打っているときは極めて正確に期待値の高い選択をしているかもしれませんが、言語化のプロセスで間違うことも考えられますし、強者の高度で精密な思考判断を言葉で伝えるのは難しいのです。

1人麻雀練習機とは

私も手組で迷ったときは一人麻雀練習機を使っていますが、これも統計データの1種で、人間ではなくAIが打ったものになりますが、正確に牌効率通りに打っているので、どの牌を選べば期待収入の高い選択になるのかが簡単に分かるようになっています。
詳しい仕組みはよくわからないのですが、おそらくまったく同じ牌姿からその後の何万通りものランダムツモを想定して、擬似的に何万と打った結果、どの選択が平均的にもっとも収入が高かったかを出力して表示されるようになっているのでしょう。
しかも微妙な期待値の差も正確に数値で表示されます。
1番手だけではなく2番手や3番手の選択はなんなのか、その差は微差なのか大差なのか、巡目によってはどう変化するのか、全て細かく正確に把握できます。
どんな強者でもここまで細かく、詳しく、正確に選択の良し悪しを言葉で伝えるのは不可能です。
私は手組みに関しては誰かに答えを聞くよりも、1人麻雀練習機に聞いた方が話が早いし効率的だと思っています。

しかし問題は押し引きやリーチ判断についてです。
これに関しては今までは強者に意見を募るしかなかったのですが、抽象的になりがちで、トップ中のトップクラスでも意見が分かれることがよくありました。
そこで統計データの出番というわけです。
AIではなく実戦で人間が打った膨大なデータを元に、実際に期待値の高い選択が何だったのかを拾い集めてみるという手法が使えます。

統計データの見方

もし統計データに嘘や間違いがあるとすれば、それは統計データそのものではなく、統計データの読み取り方に嘘や間違いが含まれるのでしょう。
統計データは言ってみれば結果論と同じであって、人間がよく言うような結果がこうだったからあれは正しかった、いや間違いだったと言うのと変わりません。
決定的に違うのは、膨大なデータを集めて平均値を採択しているという点です。
これがただの結果論を信頼に足るものへ押し上げていると言えます。
ただそこには結果だけがあって過程がありません。

1人麻雀練習機の出力結果にしてもそうです。
麻雀は4人で打つものなので、1人だけでツモって選択して得られる結果は実戦とは微妙に違ってきます。
場況判断がないからですね。
特別変わった場況がないときにはそのまま使えますが、そうでないときは場況次第で簡単に選択が覆ります。
そこで統計データの正しい読み取り方を身に付ける必要があります。

1人麻雀練習機によって出力される期待値の高い選択は絶対ではありませんが、もしも大差で期待値の高い選択が表示されるなら、それは場況次第で簡単に覆るようなものじゃありません。
そういう場合は、ほとんどどんな場況においても正しい選択、出力結果だと言えますし、逆に期待値が微差で1番手、2番手が表示されるなら場況次第で覆りやすいということです。
その場合は実戦の場況を重視して1番手か2番手かを判断してみましょう。
どの選択の期待値がもっとも高いかではなく、期待値の差は大差なのか微差なのかに注目することが大事です。

親リーに愚形ドラ1で押し返せるか

一応本書でも統計データを元に期待値の高い選択は何かという結論をその都度出しているのですが、概ね間違ってはいないと思われるものの、場況次第では覆りそうだなと思われるものもあります。
例えば親リーチに対して愚形ドラ1のテンパイは押し返せるか?という問題です。
リーチで押し返したときの局収支-1800点で、ベタオリしたときの局収支は-1700点。
どの道失点しますがオリた方がほんの少しましという結果です。

しかしこの統計データはおそらくですが、偏ったデータが集まっています。
実際に親リーチに対して愚形ドラ1で押し返したデータを掘り起こしているということは、それなりに勝算があるから追っかけているということなので、場況が良いから追っかけたとか、安牌がないから追っかけたとかで、愚形でも通常よりは放銃しにくく和了りやすかった可能性があります。
平均よりも少し期待値の高い手で押し返したと考えられるので、平均的な手で押し返したときの局収支の期待値は-1800点よりもさらに下になるのではないでしょうか。

ただしベタオリしたときの局収支にも偏りがあります。
これは本書にも書かれている通りですが、ベタオリが成功した場合の局収支で、失敗した場合は含まれていません。
安牌が少なく、ベタオリに失敗する可能性が高い場合は局収支は-1700点よりもだいぶ下になるでしょう。

となると押し返した場合もベタオリした場合も、額面より局収支は低そうなので、結局どっちもどっちなのですが、安牌さえ足りていればベタオリしたときの局収支は-1700点に極めて近くなります。
その一方で平均的な愚形ドラ1の手で押し返すと局収支は-1800点より下になると思われ、平均的な待ちでかつ安牌が足りている状況においてはベタオリした方がはっきり得になると思われます。
逆に安牌が足りてないときは腹をくくってリーチで押し返すのもありでしょう。
統計データの上では押し返しもベタオリも収支の差は小さいので、オリ打ちする可能性があるならリーチして和了り抽選を受けた方がましということは充分に考えられます。

統計データなくして麻雀戦術は語れない

このように統計データがこう言ってるからこういう結論になるというのではなく、統計データの特性を理解して応用すればこの本はめちゃくちゃ使えそうです。
難しい過程はすっ飛ばして結論だけ読むなら中級者でも使えますが、工夫すれば上級者向けにも応用が可能です。
牌効率に関しては1人麻雀練習機を参照し、押し引きやリーチ判断に関しては本書のような統計データを参照するという、これが現代における麻雀戦略、麻雀学習の最先端であり最強の手法です。
天鳳十段に到達した最強のAIも膨大な量の統計データを元につくられています。
これは統計データを活用した麻雀がいかに強いかを物語る最たる事例でしょう。
そのAIが打った牌譜から戦術を研究するというような試みも巷では行われており、もはや統計データなくして麻雀戦術は語れないというほどの状況になってきています。
こうした統計データの活用をベースに戦術や打法を構築し、そこに個人の経験からくる実戦感覚をプラスしていくのが巧い落としどころとなるでしょう。

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